行政書士が説明する|なぜ車庫証明が必要なのか?そもそも車庫証明の意味とは?

このホームページでは車庫証明に関するお役立ち情報を公開しているわけですが、あなたは「そもそもなぜ車庫証明が必要なのか?」「車庫証明に何の意味があるのか?」と思ったことはないでしょうか?

誰がどう見ても面倒ですし、しかもお金もかかってしまいますから…

実はあまり知られていないのですが、車庫証明は昭和37年に保管場所法(正式には自動車の保管場所の確保等に関する法律)が施行されたことによってスタートしました。

この法律の中で車庫証明は車の保有者の義務であると定められています。義務であるということは違反すると罰則があるということを意味します。

わざわざ法律で定めて罰則まで用意しているわけですから、必ず何らかの意味があるはずです。そうでなければ単なる国民いじめとなってしまいますので憲法違反になりかねません。

そこで今回は、なぜ車庫証明が必要なのか?その意味を考えたいと思います。

車庫証明の意味は法律に書いてある!?

ご存知ない方も多いと思いますが、法律の冒頭には「なぜその法律を作ったのか」「その法律によって何を成し遂げたいのか」が簡略的に明示されています。

日本国憲法の前文をイメージすると分かりやすいかもしれません。

保管場所法の第1条においても保管場所法の目的が明示されいます。この第1条を読み解くことで車庫証明の意味を理解することができます。

保管場所法第1条(目的)

保管場所第1条には次のように書かれています。

  • この法律は、自動車の保有者等に自動車の保管場所を確保し、道路を自動車の保管場所として使用しないよう義務づけるとともに、自動車の駐車に関する規制を強化することにより、道路使用の適正化、道路における危険の防止及び道路交通の円滑化を図ることを目的とする。


要約すると、「道路を保管場所に使用しないようにして、道路は道路として安全に通行できるようにする。」ということです。これが車庫証明の意味といえるでしょう。

かつて車を所有している人が少なかった時代、駐車に関して規制しなくてもそれほど問題はありませんでした。しかし、経済が成長し、車を所有する人が増えてくるにつれて、路上駐車が人々の生活に悪影響を及ぼすようになってきました。

事実、国土交通省のデータによると昭和20年では日本の車の保有台数が約15万台であるのに対し、昭和37年では400万台を超えています。

例えば、車1台分のスペースを10㎡(2✕5m)とすると、4000万㎡の駐車スペースが必要になったというわけですから、それまで適当に路駐していても何の問題でもなかったことが社会問題に発展したとしても不思議ではありません。

そこで国は、自動車の保有者に自動車を利用して便利な移動手段を得る代わりに、保管場所をきちんと確保して駐車するという義務を負わせることにしたのです。

道路は税金によって整備されている公共財産ですから、違法な駐車によって幅が狭まったり見通しが悪くなってドライバーや歩行者が危険にさらされたり、円滑な経済活動の妨げとなるようなことはあってはならないのです。

まとめ

なぜ車庫証明が必要なのかご理解いただけたでしょうか?おそらく想像よりも深い意味があったんだとお気付きになった方もいらっしゃるのではないでしょうか?

車庫証明の意味は、

道路を保管場所に使用しないようにして、道路は道路として安全に通行できるようにする。

です。

道路を健全な状態に維持し、安全に通行できるようにするために車庫証明は必要な規制であるということです。