車を個人間で売場や贈与したり、相続が発生したりすると、名義変更の手続きが必要になります。この名義変更と車庫証明の関係について解説します。
名義変更とは「移転登録」のことである
自動車の所有者や使用者、若しくはその両方を変更することを名義変更と言いますが、実は正式名称は「移転登録」といいます。しかし、一般的には名義変更という名称のほうがむしろ浸透しており、役所の窓口でも名義変更で問題無く通用します。業界の中では「名変(めいへん)」と略して呼ぶくらいです。
この移転登録は、道路運送車両法という法律に定められた義務であり、変更があった日から15日以内に手続きをしなければならないと定められています。
名義変更に車庫証明は必要!
さて、自動車の名義変更をするには、新所有者もしくはその代理人が管轄の運輸支局に出向き、いくつかの書類を提出して手続きを行います。原則、車庫証明は名義変更のための必要書類です。つまり、車庫証明なくして名義変更はできません。新しい所有者(使用者)がきちんと車の保管場所を確保していることを証明できなければ、名義変更はできないという仕組みになっています。
では名義変更の必要書類を確認しておきましょう。※必要書類は、新所有者と新使用者が同一の場合と、異なる場合で変わりますのでご注意ください。
旧所有者(今まで車を所有していた人、譲る人)の必要書類
- 申請書
- 手数料納付書
- 自動車検査証
- 印鑑証明書
- 譲渡証明書
- 委任状(代理人が申請する場合)
- 印鑑(本人申請の場合は実印)
新所有者(これから車を所有する人、車をもらう人)の必要書類
※新所有者と新使用者(これから車を使う人)が同一の場合
- 印鑑証明書
- 印鑑(本人申請の場合は実印)
- 委任状(代理人が申請する場合)
- 自動車保管場所証明書(車庫証明)
新所有者(これから車を所有する人、車をもらう人)の必要書類
※新所有者と新使用者(これから車を使う人)が異なる場合
- 新所有者の印鑑証明書
- 新所有者の印鑑(本人申請の場合は実印)
- 新所有者の委任状(代理人が申請する場合)
- 新使用者の住所を証する書類(個人は住民票・印鑑証明書など、法人は登記簿)
- 新使用者の印鑑(本人申請の場合は認印)
- 新使用者の委任状(代理人が申請する場合。認印でOK)
- 新使用者の自動車保管場所証明書(車庫証明)
手数料
- 登録手数料 500円
- ナンバープレート交付手数料 2,000円
- 自動車取得税 自動車により異なる
名義変更は車庫証明を取ってから概ね30日以内にしましょう!
そもそも車庫証明に有効期限という概念はありません。しかし、名義変更の手続きにおいては車庫証明の期限が「証明日から概ね30日以内」という指定があります。
車庫証明を取得するのが早すぎると、名義変更時に期限切れになてしまって、再度取り直しとなってしまいます。名義変更手続きは車庫証明の取得時期から計画的に行わなければなりません。
ところで、「概ね30日」の「概ね」という文言が気になります。30日キッチリじゃなく何日までなのか?と疑問に思われるかもしれませんが、一般的に「概ね30日」=40日とされています。
40日猶予があるとはいえ、早いに越したことはありません。車庫証明を取ったら、すみやかに名義変更の手続きに移行するようにしましょう。
名義が変わっても使用の本拠が同じだったら?
同居している親子が自動車の名義を親から子へ移転するだけの場合、住所も保管場所も変更しません。この様に名義変更によって所有者が変更されても、使用の本拠が変わらない場合はどうなるのでしょうか?この場合でも車庫証明は必要なのでしょうか?
この場合、車庫証明は省略することができます。
ただし、厳密に言うとこれは名義変更の手続きにおいては車庫証明を省略できるという意味であって、警察署への車庫証明の手続き自体は、たとえ住所が変わらないからといっても省略はできないことになります。
まとめ
車庫証明は法律上の義務ですが、手続きをしない方もいらっしゃいます。また、警察も積極的に取り締まるようなことはしていないのが現実です。
しかし、名義変更をはじめとする自動車登録には車庫証明が必要書類として位置づけられており、抜け駆けできないようになっています。