車庫証明に賃貸借契約書を使う際の注意点とは?

賃貸物件に車を保管する場合、車庫証明には保管場所使用承諾証明書(以下「使用承諾書」)という書類が必要になります。これは、保管場所の所有者または管理者から保管場所を利用する承諾を得ていることを証明する書類になります。

実は、この使用承諾書に代わりに賃貸借契約書を提出することもできるのをご存知でしたか?

使用承諾書は土地や建物の所有者や管理者から押印などをもらわないといけないのに対し、契約書はあなたの手元にあるはずですから大幅に手間を省くことができます。
(※令和3年1月より押印は不要になり記名で足りることになりました)

ところが、実務上では賃貸借契約書はほとんど使われていないのが現状です。

というのは、契約の内容から車庫証明に必要な事項が明確に読み取れなければならないからです。つまり賃貸借契約書は万能ではなく、使えないリスクもあるということです。

では、一体どのような内容が契約書に含まれていれば大丈夫なのか?車庫証明に賃貸借契約書を使う際の注意点をご紹介します。

ズバリ!使用承諾書と同じ内容が含まれていればよい!

車庫証明では、原則として使用承諾書を提出することになっていて、例外的に賃貸借契約書も認めるという構図になっています。

したがって、賃貸借契約書の内容が使用承諾書の内容を網羅していればよいという理屈になります。

ではどのような内容が盛り込まれていればよいか確認するために使用承諾書の内容を見てみましょう。

これは記入例です。

簡潔にすると次のとおりになります。

  • 保管場所の位置
  • 使用者の情報
  • 使用期間
  • 所有者の情報と押印(※令和3年1月押印廃止)


これを契約書の内容に置き換えると次のようになります。

  • 契約している物件の所在
  • 契約当事者の情報(貸主、借主の氏名・住所)と押印
    (※令和3年1月押印廃止)
  • 契約期間


これらの情報が明確に読み取れるかどうかを確認してください。

ただ、いくつか注意点があります。

注意点① アパートやマンションの場合、駐車場も借りていることが分かるかどうか

駐車場だけの契約なら問題ないのですが、アパートやマンションなどの賃貸住宅と一緒に駐車場も借りているような場合は、駐車場も借りていることが明示されていることが重要です。

例えば、はじめから駐車場込の物件の場合だと物件名しか示されていない可能性があります。

このような場合、たとえ現実に駐車場を借りているとしても契約書の内容から判断できないので証明書として認められない恐れがあります。

注意点② 契約期間が過ぎて自動更新になっている

賃貸借契約書には契約期間が必ず定められているはずですが、ほとんどの場合2年くらいの期間が設定され、その後は自動更新という形をとっているのではないでしょうか。

車庫証明に使用する際、既に自動更新に入っていると契約書上は契約期間を過ぎていることになります。そして、契約書から自動更新中かどうか判断ができません。

このような場合も証明書として認められない可能性があるのですが、他の書類でもって補完することができます。

例えば、賃貸料の領収書や貸主さんの振込先口座に入金がされていることが分かる通帳のコピーなど、現在も賃料を払い続けていることが分かる資料を添付することで自動更新を証明することができます。

まとめ

いかがでしょうか?

賃貸借契約書が便利でありつつ万能でないことがお分かりいただけたでしょうか?

契約書というと難しい文章がぎっしり詰まっていて読む気にすらならないという方はたくさんいらっしゃると思います。車庫証明で賃貸借契約書があまり使われていない理由はまさにコレではないでしょうか。

難しいことを考えるより貸主さんに承諾をもらった方が早いし確実であるというのも一理あります。

目的は車庫証明をとることですから、あなたにとってより便利な方を選んでいただくのがベストだと思います。

なお、行政書士に依頼するときに賃貸借契約書を使いたい場合は、事前にFAX等で内容を知らせておくとあらかじめ内容をチェックしてもらえるので安心です。